[2006/8/26]
今年は例年になく梅雨前線が停滞し、その前の二週間ほとんど毎日、本格的な雨が続いていたから、いつもにまして天候への不安が強かった。だって毎年ほとんどいつも雨に見舞われてるし、去年なんかは台風が去った後、これでしばらくはいい天気が続くと誰もが期待したにもかかわらず、毎日ほとんど雨降って、そして恒例の泥んこMUDDY WATERSのHEAVEN会場だったからね。だから今年はもっと、考えたくはない、けれども最悪!準備、会期中、片づけ・・毎日雨かも!?っていう想定とその対策もしていたよ。
金曜日からのフェスティバルに水曜日から現地にて準備に入るんだけれど、それより前に入っているメイン・スタッフからの電話では、大雨が続いてヘブン会場に大きな3本の川が流れてるんだと!!なので非常手段としてアスファルトの粒を蒔いて大至急の整地をしたとか・・。
オーガニック・コーヒーをハンド・ローストで出してるLOTUS CAFEの牧サンたちと一緒に、4tトラックでいろんなものを満載して出発するため、2年前まで住んでて今も牧サンたちの住む愛知県三河地方に来ていたから、誰かがヘブンも三河(みかわ)か〜??って言ったけど、三河というよりヘブン(天国)だから三途の川じゃないの〜?って冗談言って笑ったけど、内心はシャレにならんかも??って思ったね。
とにかく苗場になってから8年目。最初の年は整地したてのむき出した土の会場で、晴れて乾けば土ぼこりモウモウ、雨でぬかればグッチョン、グッチョンのField of Heavenに、少しずつ草が生え、オガクズが蒔かれ、また草が茂って、本当に山や空に溶けこんでゆく様を見てきたから、着いて真っ黒なアスファルト色の会場を見たときには結構違和感、覚えたな。そして最初から大雨を想定して会場各所に排水用の溝が切ってあった。
そしてその溝に僕らの乗ってきたトラックがはまり込んでエライ事になったりもするんだけど、その時は、もうヘブン村とも言っていい各出店の仲間たちが結構駆けつけて助けてくれて、4tトラックを無謀にも押して出そうとしてくれたり、泥まみれになりながら埋まったタイヤを必死で掘ってくれたり、みんな上半身裸になって力を合わせて一生懸命になってくれたから、すごくうれしかった。みんな準備に忙しいにも関わらずね!。結局作業に来ていたフォークリフトに引っ張ってもらってレスキューできたんだが、脱出した瞬間は全員歓声!。人によっては年に一回ここでしか会わなかったり、もちろん初めて会う人も大勢いたりもするんだけどね。なんていうか、ここでの8年、というより年に一回準備、片づけ合わせて1週間だけ出現する蜃気楼のような8回目のヘブン村は、本当に何か村の歴史や住人達の絆が深くなってきてることを、今年はますます実感した。
準備の2日間は、予想をいい意味で裏切り、雨が降らず、そして夕方日が沈んでから、恒例となったキャンドル・ジュン君呼びかけによるヘブンのオープニング・セレモニーが始まった。いつも期間中夕暮れからヘブン会場を優しく幻想的に彩ってくれる何百本の手作りキャンドルの灯り。いつも不思議に思うのは同じようなキャンドルを一緒に灯してみても、なにかどこか違うんだな。なんだろう?もちろんジュン君のアーティストとしての才能はいうまでもなく素晴らしいので、彼の才能から来るキャンドルの完成度、色彩やインスタレーションのセンスはもちろんだと思うんだけど、例えば家の中でジュン君キャンドルをいくつか灯して、他のキャンドルをなにげに点けて一緒に並べると、合わない、というか灯が異質な感じがするんで合わせられない。本当に彼のキャンドルの火は暖かくて優しい。毎年ヒロシマ・デー、ナガサキ・デーにどこにいても駆けつけて、夜中から朝日が上るころまで灯しているし、オキナワにも、アフガニスタンにも、9・11のNYでも、ジョン・レノンが殺された近くのストロベリー・フィールズにも、インディアンの聖地にも、WPPDの富士山でも、中越地震の被災地でも・・そして昨年からは8・15終戦の日に中国でもしずかにキャンドルを灯し続けている、そんな行為を自身の祈りとしているジュン君だからこそ、なんだと思っている。
そんな彼によるキャンドルのセレモニー。
もう今年で何年になるかな?。丁度フジ前夜祭が始まったころ花火の音がドン!ドン!と、聞こえてくる中でヘブンの住人みんな集まって、まあるく置かれた幻想的なキャンドルの周りを輪になって囲んで、その輪が年々大きくなっていくのをみんなで確認しあって、手を繋いで唄を歌って、いい3日間、事故の無い、お客さんが楽しい、いい思い出となるような時間、ぼくらみんなにとってもいい時となることを、共に祈る少しの時間。準備に忙しく、心慌ただしくもなっているそれぞれにとっても、心穏やかに夢のような日々への、夢のようなキャンドルを見つめて、この場と時へのピースを祈り、取り戻せるチューニングの時間でもあると思う。
このジュン君呼びかけによるセレモニーが始まってから、心なしかそれぞれのお店でのトラブルなんかが減ってるんじゃないかな? もちろんお店どうしもそれ以上に親しみを増してきているし、助け合ったり、差し入れしあったり、忙しい中でも語り合う時間も機会も増えてきていると思うしね。
だから、日本で一番大きいロック・フェスで、もちろんお金なんかもいっぱい懸かって実現してる世界ではあるけれど、ヘブンのなかではお客さん同士のトラブルやヘンなバイブレーションなんて感じたこともなかったり、フジのブログ読んでても、お客さんがヘブンの空気をとてもよく書いてくれてたりするのも、なんかわかるような気もするな。手前みそ過ぎるかな?(笑)。
とにかく、ますますヘブンでお店出させてもらっている事は本当にしあわせに感じています。
もちろん今年も、出演者の面々がお店に来てくれて、加藤登紀子さん、サンデイさんご一行、上々颱風のエミちゃんたち、UA、クラムボンの郁ちゃん、ストリング・チーズの面々・・・、みなさんお店を気に入ってくれたり、リトル・イーグルやスロー・タートル気に入ってくれていろいろ買っていってくださいました。
またカナダやアメリカ、台湾、韓国なんかから遊びに来ているお客さんが気に入って買ってくれたり、もちろん全国から来ている大勢のみんながたくさん買っていってくれて、うれしかったです! ほんとうにありがとうございました。
毎年出しているオリジナル・ヘブンTを毎年必ず買っていってくれる人や、最初に作ったTシャツを色がウスウスになっているにもかかわらず、着てきてくれる人や、何年か前のやつをわざわざ着てきてくれる人もけっこういて、Tシャツ屋冥利に尽きるってもんです!本当。
オリジナルTのどこかにいつもPEACE & MUSICと入れるんだけど、これはもちろん’69の伝説のウッドストックのサブコピー、3 DAYS of PEACE & MUSICから取った、あの時代と精神へのリスペクトでもあるんだが、いまだイラクの戦争も泥沼で、この時はイスラエルとレバノンの戦争まっただ中でもあった。そして日本でもアジアの各国も感情的なナショナリズム傾倒の兆しが高まる中、この3日間で考えさせられたのは、平和だからこそ音楽の祭典が開催出来るんだし、音楽を楽しむ自由があるということが平和なんだって思えたこと。
だから、この精神と自由とを次の世代や子どもたちに繋げていかないといけないと強く思った。そして、この10年も続いている、こんな平和な音楽の祭典をやっぱりこれからも続けていかないとダメだなって改めて思えたね。
いま、ここにある平和に感謝します。そしてこの輪を大きくしていきたいね。もっともっと、ね!
2000年に初めて訪れたイギリスで開かれるグラストンバレー・フェスティバルは、今年は小休止していたけど、もう35年以上続いていて、フジと同じ3日間の開催で述べ30万人から50万人が訪れる世界最大のミュージック・フェスとなっている。苗場の数倍もある広大な会場では、無数のステージ、テント、フィールドがあり、フジでもアバロンで行なわれているような全てを自然エネルギーでまかなうグリーン・フューチャーズというエリアや、手作りアートが自然の中で展示されているクラフト・エリア。数えたら120いくつも立ってたティピ・フィールド。年間通じて作られているパーマカルチャー(自然農)の畑もあるし、また会場の上の方、立ち並ぶステージや何十万のカラフルな来場者テントを一望出来る場所に在る、本物!太古ケルトの時代のストーン・サークルが祭壇として鎮座する。
だからここにいると音楽だけじゃなく、ロックを支える’60年代当時から続くカウンターカルチャー、オルタナティブの流れに触れることが出来る。
それは、反戦・平和・地球意識に目覚めた当時の若者たちが夢見た世界。愛と平和の上に訪れる、新しい時代(NEW AGE)。
フジロックを開催する、大将、スマッシュの日高さんは、その当時の若者にしてフジ開催までに度々、グラストンベリーを訪れていたんだとか。
たぶん大将、日高さんの心の中にもウッドストック、グラストンバレーに続く、その精神を引き継ぐ志と気概が大きくウズ巻いているんじゃないかと勝手に想像します。
だから、なおさらフジを開催してくれている主催者、スタッフのみなさんにも感謝です。こんな素晴らしい場を作ってくれて、G・デッド好きも多いしね!ゴミやいろんなボランティアやってるみんなにも。 苗場の地元のみなさんにも。そして支えてくれている本当に大勢のお客さんのみなさんにも。
ほんとうにありがとう!
また来年も平和と音楽の祭典、11年目のフジロックで会いましょう!
GIVE THANKS ! 3 DAYS of PEACE & MUSIC!!
PS:予想を大きく外れて天気はかなり良かったです!二日目の昼間一回降ったのを機会に梅雨が明けました。アスファルトも役に立ってたし、溝もバッチリ機能してた。雨降っても足元軽快に踊れるってやっぱりイイナ!ってチーズの時フラフープしてて思ったよ!
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